INTERVIEW
2022.04.01
Growth story 2011-2021
シンボルマーク「Mr.W」と共に、認知度を高めた虎ノ門での2年間[2/4]
・ Speaker 〈話し手〉
大矢 泰一
Eviro株式会社取締役社長
澤 曙憙誕
株式会社アンドロップ CEO/
ブランディングディレクター
・ History 〈ワーカホリック年表〉
虎ノ門での攻めの2年間
澤
定期借家という賃貸条件の関係でオープンから5年を過ごした赤坂店を閉めた後、物件探しには本当に苦労しましたよね。
大矢
今となってはいい思い出ですが、虎ノ門の物件に出会うまで、品川や青山などいろいろなエリアに物件探しに行きましたね。
赤坂店での経験から、お客様と出会えればニーズに応えられるという自信はあったのですが、まだまだWORKAHOLICを知らない方も多く、もどかしさから、とくかく認知度を上げたいっていう想いが大きかったです。
どうすればより多くの人に知っていただけるかということをテーマに、ビジネス街かつ潜在顧客が行き交う場所というのが、物件選びの基準になりました。
澤
虎ノ門の物件に出会った時は、少し表現が古いですがビビっときましたよね。
大通りに面した駅近の交差点の角地で、まさかの一棟借りという。
大矢
そうですね。まさに潜在顧客に対する露出が圧倒的なビジネス街。
そういう立地として、虎ノ門はうってつけでした。
澤
全体を見渡せるワンフロアではなく、1階〜5階を階段で移動しないといけないという接客上のリスクもありましたが、それでも魅力的な物件でしたね。
そして、その上で1階をどう使うか、というのがポイントでした。
そこで、キーワードになったのが、「ビジネスパーソン」。
大矢
そうですよね。
澤
大矢さんから、「WORKAHOLICと相乗効果のある自分たちらしいカフェをやりたい」という、WORKAHOLICの潜在顧客である「ビジネスパーソン」のためのカフェはどうか、と。
ビジネスパーソンというのは、眠いときや集中したいときにはやっぱりカフェインが必要になるのではないか、ということでしたね。
大矢
高級ワークチェアショップって入りづらいよね、中にカフェがあったら入りやすいのに、というのは赤坂の頃から考えていました。
そこで澤さんから、「虎ノ門という街で求められるのは、コーヒーをゆったり飲むというより、カフェインをチャージするためにコーヒーを飲むのではないか」というアイデアをいただいたんですよね。
澤
結果、コーヒーや緑茶、紅茶だったんですけど。
大矢
ビジネスパーソンの街に、ビジネスパーソンが求める「カフェインチャージのためのカフェ」caffeineholicをつくり、その結果としてWORKAHOLICのことを知っていただくという戦略がスタートしたのが、虎ノ門ですよね。
澤
「世界初のカフェインチャージバー」といういコンセプトを打ち出して。それまで、WORKAHOLICが取り上げられなかったメディアにも響いたし、一番効果があったのがSNSですよね。
当時、WORKAHOLICがSNSに登場することはそんなに多くなかったと思いますが、caffeineholicはインスタグラムとかで発信してもらいましたね。
大矢
カフェインチャージというコンセプトやストーリーが、多くの方におもしろがってもらえたんだと思います。
澤
CaffeineholicからWORKAHOLICへの導線をつくるため、戦略的に窓側の席に4脚のワークチェアを置きましたよね。
カフェに高機能ワークチェア、お客様の反応はどうでしたか?
大矢
ワークチェアの席は、大人気でいつも埋まっていましたね。
新聞や最新のビジネス誌もかなりの種類揃えていたので、出社前に立ち寄って、カフェインをチャージしながら情報を仕入れたり、一日の仕事の準備をしたりして、そこから出勤というのをスタイルにする方が結構いらっしゃいました。
まさかカフェでワークチェアに座れると思っていなかった方がほとんどだったかと。
澤
当時は、カフェにワークチェアっていい意味で違和感がありましたよね。
今でこそ、コワーキングカフェみたいなスタイルのお店が増えましたが。
大矢
虎ノ門はカフェが多く、そこで作業される方もたくさんいらっしゃったと思うんですけど、このレベルの椅子を置いているところは他にはなかったんですよね。
コーヒーを飲みに来てたまたま席に着いたら、「この椅子いいな、ぜんぜん違う」という気づきを与えることができたのかなあ、と。
澤
あとはなんと言っても外観ですね。PR上、虎ノ門店で最も効果的だったのは、この外壁のシンボルマークのサインだと思っています。
中には入ったことないけど、あのおじさん(Mr.W)の顔を見たことがある、という人は今でもものすごく多いです。
大矢
人間って、人の顔を覚える力があるので、大きな交差点にデカデカと顔があるっていうインパクトはもちろん、シンプルなロゴよりも圧倒的に覚えてやすかったんだと思います。
このシンボルマーク「Mr.W」が象徴するのは、クールで、格好良くて、仕事ができて、少し遊び心もある男。
それらが我々自身や、お店のイメージアップに大きな貢献をしてくれたと思います。
1日に何万人も往来し、足を止める場所で2年間、目にしてもらったわけですからね。
今でも「虎ノ門にお店があったことは知っていたけど、入ったことはなかった」とおっしゃるお客様は多いです。
澤
では、そろそろ、2〜5FのWORKAHOLICの話をしましょうか。(笑)複数階に渡る店舗で、今までとは勝手が違ったわけじゃないですか。
当時は完全予約制ではなく、どうしても全員に接客はできないのではないかという仮説の元、ミュージアム的導線の店舗つくりをしましたよね。
大矢
ミュージアムスタイルの店舗は、まずはワークチェアをいろいろと見てみたいというお客様にとっては、気軽に見られるという意味では理に叶っていたんですけど、実際にご案内をする面ではやや狭かったり、同時に試したい椅子が複数のフロアに分かれたりという不便さもありましたね。
澤
虎ノ門の2年間というのは、新たなシンボルマークやcaffeineholicによってすごく認知度が高まったと同時に、チェアコンシェルジュという接客スタイルが真に求められているということが確信できた時間でしたね。
大矢
虎ノ門にきて、改めて感じたことは、WORKAHOLICへ来られるお客様のほとんどが、口コミや紹介がほとんど、ということでした。
そういう意味で、僕らが次の店舗で求めたのは、一等地であることよりも、チェアコンシェルジュというサービスの質をもっと高められる環境だったんです。
お客様にとって、「どこにあっても行きたい」と思ってもらえるお店に少しずつなってきたという手応えを感じていました。
澤
ところで、caffeineholicの最後の営業日は、すごかったですよね。エントランスの窓ガラスに沢山のお客様が寄せ書きを書いてくれて。
あれはよかったですよね。
飲食店が移転する時に寄せ書きが書いてあることなんてあまり見たことなかったんで。
それぐらい愛されていたんだなあって。
大矢
caffeineholicが目指したのは、「全てのお客様のうち8割がリピーターのお店」がコンセプトだったので。
多くのお客様からあたたかいお言葉をいただけたのは、一つの成功だったのかなと思えました。